「子どもはだんだんと人間になるのではなく、すでに人間である。」とは、子どもの権利条約の父といわれるヤヌシュ・コルチャックの言葉です。子どもは権利の主体であり、おとなと同じ人間として尊重されるべき存在です。
子どもの権利条約や児童福祉法は、すべての子どもに対して、その子どもに影響を与えるあらゆる事柄について、自由に意見表明する権利を保障し、その声が聴かれ、受け止められる機会を確保して、正当に重視されるべきであると謳っています。
「私たち抜きに私たちのことを決めないで」(Nothing about us without us)というメッセージは障害者運動から生まれましたが、社会的養護経験者からも、「自分の人生に関わる大切なことが、自分の意思を聴かれることなく決められることがあった。」という声を聞くことが少なくありません。子どもであるというだけで、その声が無視され、軽んじられ、時として不幸な結果を招いてしまうことが、今も、さまざまな場面で続いています。
国連子どもの権利委員会は、2019年3月、日本政府に対して、「子どもの意見表明権をすべての子どもの育ちの場で確保すること」と勧告しました。
わが国では、2019年の児童福祉法改正で、「改正法施行後2年を目途として、子どもの意見を聴く機会や自ら意見を表明できる機会の確保など子どもの意見表明権を保障する仕組みや子どもの権利擁護のあり方についての検討すること」が盛り込まれました。
厚生労働省は、子どもの意見表明権を保障するしくみを検討するため、「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム」を設置して検討を続け、2021年5月、とりまとめを発表しました。さらに都道府県で実施する「子どもの権利擁護に係る実証モデル事業」を創設し、速いテンポで取り組んでいます。
このなかで、子どもアドボカシーへの関心がようやく高まり、全国各地で、これに取り組む活動が急速に広がってきました。
一方、子どもアドボカシ-がまだ新しい概念であるため、多くの抵抗感やためらいが、その動きを鈍らせがちな現状があるのも事実です。
私たちは、こうした各地で子どもアドボカシーに取り組む団体や個人とつながり、多くの課題をともに乗り越えることが求められている、と考えてきました。
私たちは、子ども・若者とのパートナーシップのもと、各地で活動する団体や個人との交流・連携を通して、子どもの声を大切にし、すべての子どもの権利を尊重する社会の実現に寄与することを決意し、ここに、全国子どもアドボカシー協議会を設立します。
2022年3月27日 NPO法人全国子どもアドボカシー協議会 設立代表者 相澤仁